映画ごった煮ブログ

【雑記】アカデミー賞のノミネート&受賞から見る『ノマドランド』の凄さ!

昨日、26日にはアカデミー賞が開催されましたね。
前評判もよかったことから。作品賞、監督賞、主演女優賞の3部門で獲得に至ったのも当然かと思います。
しかし、おそらく多くの方が疑問に抱くのが「果たして本当に受賞するに足る存在であったのか?」ということです。
そこで今回は、ノミネートされた賞も含め『ノマドランド』を振り返っていきたいと思います。
ちなみに、内容は主観ですのでそこはお気を付けください。



<ノミネート>
〇脚色賞
この作品には原作があります。
それがジェシカ・ブルーダーが2017年に執筆したノンフィクション小説『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』です。
私はこれを読んでいないので、どれくらいの脚色、あるいは踏襲がされているのかは分かりません。
ただ、一つ言えるのは「映像化」という点において、これほどまでに効果的な作品はそうそうないだろうということです。
ノマド(放浪者)のつながりを、ハグであったり、握手であったり、視覚的な形で見せた演出は、言葉以上にその強固な結び付きを思わせていました。
また、自然の雄大さとそこで自由に生きることの意味を感じさせる風景を切り取っているのもノマドとして生きる意味をより強く感じさせる要素になっていたと思います。
こうした「映像だからできる表現」を見せたシーンの数々は、文字だけでは表現仕切れない魅力を形にした、良質な脚色であったと言えるでしょう。

〇撮影賞
作品の魅力を語る上でこの要素は欠かせません。
上でも挙げた美しい自然の映像には、ただただ圧倒されるばかりでしたから。
ただ、普通よりも優れていると感じられるのがその切り取り方。
夕暮れの薄暗さが最も美しい時間帯―――いわゆるマジックアワーを映える形で撮影していたり、薄暗いシーンながらもそこに光の温かみをもたらせていたりなど、美しいシーンを作るのが巧みでした。
いかに最新技術を用いて映像美を演出するかが問われる今の時代に、自然光の捉え方ひとつひとつで美しく見せたセンスの良さは、撮影賞にノミネートされたのも納得でした。

編集賞
この作品、鑑賞した方なら誰もが感じたかと思いますが、ドキュメンタリーチックな印象を受けます。
ノマドの人々の生活を切り取り、その尊さを表現した本作において、このドキュメンタリーチックなつくりはかなり効果的でした。
で、その印象を確定付けさせていたのがここで取り上げる編集であったと言えるでしょう。
一つのパートを的確に細かくカットしていき、主人公ファーンが出会う人々とのドラマ性を作りながらも、ドキュメンタリーのようなリアルさを演出。
劇的としていないからこそ感じられる、一期一会の出会いと別れの素晴らしさ、突然の再会の喜びは、より強く感じられるように思えましたね。

<受賞>
〇主演女優賞(フランシス・マクドーマンド
今年の受賞で主演女優賞獲得は3度目というフランシス・マクドーマンド。それも納得の演技力でした。




おそらく彼女の演技がなければ『ノマドランド』という作品の評価自体がガラリと変わっていたと思います。