映画ごった煮ブログ

【雑記】『ニュー・シネマ・パラダイス』3バージョン物語

明日4月29日にBSプレミアムで『ニュー・シネマ・パラダイス』が放送されるらしいです。
ニュー・シネマ・パラダイス』といえば、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の傑作中の傑作。
緻密に計算された回想シーンと現在シーンとの調和がもたらすノスタルジックな雰囲気は、エンニオ・モリコーネとその息子アンドレアによる音楽の素晴らしさもあって感動三昧。
昔の映画文化の素晴らしさ、イタリア文化の異国情緒溢れる様子など、見ごたえもたっぷりとあります。


さて、そんな『ニュー・シネマ・パラダイス』ですが、この映画には3つのバージョンがあります。
それが「ディレクターズ・カット版」(170分)「インターナショナル版」(124分)「イタリアオリジナル版」(155分)の3つです。
今回、放送されるのは「インターナショナル版」なわけですが、これはいわゆる劇場公開版。おそらく最も親しみのある『ニュー・シネマ・パラダイス』ではないかと思います。




では、他の2つは一体何なのかという話。
まず「ディレクターズ・カット版」は、よく聞くかと思います。
作品を作るに当たりカットしたシーンを追加した「全部のせ」のイメージ。
監督が必要かと思ったけれど、よくよく考えてみると不要であったシーンも追加されています。


もうひとつの「イタリアオリジナル版」は、私が勝手に呼んでいるだけなので正式名称ではありません。
おそらく正式名称はないのですが、それもそのはず。このバージョンは、イタリアで公開されたもののあまり好評ではなく、それがきっかけとなり大幅カットしたインターナショナル版が作られます。(主にエレナとのシーンがカットされ、後日談もカットされたのだとか)
しかし、それが結果として成功。トルナトーレ監督のキャリアでも1,2を争う傑作となったのですから分からないものです。


で、この「イタリアオリジナル版」ですが、日本に現存するディスク媒体では見ることが出来ません。
海外ではどうやら出回っている(上映時間155分のものが存在する)ようなので、別にお蔵入りして元データが存在しないとかいうこともないのではないかと思います。


では何故、発売されないのかというと、おそらくディレクターズカット版で集束しているから。
上で書いた上映時間からも分かるように、ディレクターズカット版は170分、イタリアオリジナル版は155分と、15分多いです。
170分の中に155分の本編が含まれていることは容易に想像出来ちゃいますよね。
そのため、我々は「ディレクターズカット版をのぞく時、イタリアオリジナル版もまたのぞいているのだ」と言えるでしょう。


とはいえ、トルナトーレ監督としては、イタリアオリジナル版が最も自分の表現したかった『ニュー・シネマ・パラダイス』であることも事実。(鑑賞した人たちの声を聞いてカットしたわけですし)
いつの日か、イタリアオリジナル版を見てみたいものですな。